双角鬼
暫定的に“双角鬼”のデフォルト名“ケラット”で載せることにします。
第一回 †
ジャン:
(さて…
夜も更けてきたし、
そろそろ寝ようかな…)
ケラット:
ジャン!!!
ジャン:
うわっ!
な、なんだ…ケラットさんか…
ケラット:
そうだよ!
ケラットだよ!
ジャン:
どうしたんですか?
こんな時間に?
ケラット:
ヒマでしょ? ボクと遊ばない!?
ジャン:
い、今からですか!?
ケラット:
そうだよ!
いいじゃん!いいじゃん!!
ねーねー、遊ぼうよ〜!!
ジャン:
ダ、ダメですよ!
こんな時間に男と女が遊ぶなんて…
危険過ぎます!
な、何が起こるか
わからないですよ…
ムフッ…ムフフフフ…
ケラット:
え? ああ、そのことなら大丈夫!
ジャン:
な、何がです?
ケラット:
だってボク、
女の子しか好きじゃないんだもん!
ジャン:
…………
そ、それはそれで問題が…
ケラット:
なんで?
ボクは女の子が好きなんだから、
ジャンといてもナニも起きないよ?
ジャン:
ケラットさんがよくても…
ぼ、僕の理性が…
ケラット:
大丈夫! 細かいことは気にしない!気にしない!
そんなことよりさ、お互いの妄想と
性癖について、無駄に熱く語ろうよ!
ジャン:
…………はい?
妄想と…性癖ですか。
わかりました…
まぁ、少しだけですよ?
ケラット:
お! その顔は、ハートのいらんところに
火が付いたね!?
おっしゃー! 今夜はとことん語るゾーーー!!
第二回 †
ケラット:
やっぱりボクは…
引き締まった筋肉の上を
滴り落ちる汗…これかな!
ジャン:
なかなかいい趣味してますね〜
マニア度が悪化してる気もしますけど…
ケラット:
ジャンは?
ジャン:
僕ですか?
僕はですねぇ…
やっぱりその…
基本的に女性だったら…
ケラット:
あはははは!
ジャンらしいね!
あ、それは僕ボクも一緒か!?
ジャン:
そうですよ!
ケラットさんも僕と同じです!
ケラット:
はははっ!
でも、お互いこうやって性癖を
包み隠さず話してると楽しいね!
ジャン:
はいっ!
ぼ、ぼ、ぼ、僕は…嬉しいです!
ケラット:
ほへ? 何が??
ジャン:
僕と趣味の合う人と出会えて、
しかもこうやって、
夜な夜な語り合えるとは…
これ以上の喜びはありません!
ケラット;
ジャンってホントにヘンタイだよねー!
ジャン:
ケラットさんだって、
中々のヘンタイですよ〜!
ケラット:
あはははは!
ボクもヘンタイかぁ〜!
それもまたよし! あははははっ!
ジャン;
ははははは!
第三回 †
ジャン:
(…はぁ〜っ、かわいい女の子でも
空から降ってこないかなぁ…)
ケラット:
ジャジャジャジャーン♪
ジャン:
ケラットさん!
ケラット:
ジャン、ヒマそうだね?
ジャン:
まぁヒマといえばヒマですけど…
ケラット:
じゃあさ…お願いがあるんだけど…?
ジャン:
お願い?
なんですか?
ケラット:
ボクに字を教えてくんない?
ジャン:
字ですか?
ケラット:
…うん。
ボクさ、字が書けないし
読めもしないんだ…
やっぱり恥ずかしいし…
みんな読み書きできてるのに、
ボクだけ仲間外れはさすがに…
ジャン:
…わかりました。
僕でよければ、教えますよ!
ケラット:
ホント!?
ありがとう!
ジャン:
…そうですそうです。
で、この言葉の意味が…?
ケラット
う〜んと…えーっと…
あ!
だいきょうきんだ!
ジャン:
正解!
じゃあ次はこれです。
ケラット:
あ、これはもう覚えたわよ!
じょうわんにとうきん!
ジャン:
正解です!
すごいじゃないですか!
ケラット:
筋肉は大好きだからね!
世の中の言葉が全部、
筋肉だったら覚えられるのに…
ジャン:
そ、それは僕が全力で阻止します…
ケラット:
よーっし! まだまだ覚えるぞ!
次は…
しゅくそくしゅこんしんきんを教えて!
ジャン:
…どこ? それ…
第四回 †
ケラット:
…………
ジャン:
ケラットさ〜ん!
今日も妄想しましょ〜よ!
ケラット:
…………
ジャン:
ん?
ケラットさん、どうかしました?
ケラット;
ボク…
もう妄想やめた…
ジャン:
えー!!!
どうしてですか!?
何かあったんですか?
ケラット:
…別に。
ジャン:
いーや!
絶対おかしいです!
ケラットさんが妄想しないなんて!
ケラット:
…………
ジャン:
よかったら…
話してくれませんか?
ケラット
…たの。
ジャン:
はい?
ケラット:
みんなに言われたの!
妄想ばかりしてると、
ジャンみたいになるぞって!
ジャン:
それが理由ですか…?
僕みたいになるってのが…
ケラット:
だって…ジャンみたいになったら、
みんな、ボクと
話さないって言うんだ!
まわりをこんなにかわいい
女の子たちに囲まれていながら…
お話も出来ないなんて!
それって、どんな拷問!?
あんまりにもひどすぎるよ!
ボク…ボク…そんな状況耐えられない!
ジャン:
…えーと、僕はこの状況に
耐えられないかもしれません…
ケラット:
だから、ボクは
ジャンみたいにならないの!
もう妄想なんかしないっっ!
ジャン:
あ、ケラットさん!
…一番傷ついてるのって…
僕じゃない…?
第五回 †
ジャン:
(あ、あの雲!
女性の胸にそっくりだ…
しかも谷間までくっきりと…)
ケラット:
ジャンー!!!
ジャン:
ケラットさん!
(アレ? …この前の事を
忘れているみたいだ…)
(恐竜族は記憶力があまり良くないって
本当なのかな?)
ケラット:
またまたヒマそうだね?
ジャン:
今度は何ですかぁ?
字なら教えましたよ〜。
筋肉のだけだけど…
ケラット:
今度は計算を教えて!
ジャン:
計算ですか…
ケラット:
そう!
両手で収まらない数の
計算が苦手なんだよね。
ジャン:
二桁が苦手ってことですか…
わかりました…
僕に任せて下さい!
ケラット:
うん! よろしくー。
ジャン:
いいですか?
ここに12個のリンゴがあります。
ケラット:
うんうん。
ジャン:
ここに6個のみかんを足すと…?
さぁ、いくつですか?
ケラット:
えーっと…12個と6個だから…
ジャン:
その調子です!
ケラット:
パクッ!
パクパクパクッ!
ジャン:
あー!!!
食べちゃダメですよ!
ケラット:
だってわかんないよ〜。
果物じゃ食べちゃうし。
食べちゃったらなくなるし。
もっとわかりやすい問題にしてよ?
ジャン:
うわー、すごい屁理屈…
ケラット:
だから、もっとわかりやすい
例えはないかなぁ? って話。
そうすれば理解しやすいんだけど。
ジャン:
ケラットさんに
わかりやすい例えか…
それじゃあ…
ケラット:
うんうん。
ジャン:
胸囲67センチの女の人がいました。
そこに胸囲93センチの人が来ました。
二人の胸囲は合わせていくつですか?
ケラット:
160センチ!
ジャン:
即答!?
すごいじゃないですか!
胸囲にしたらわかるんですね…
ケラット:
世の中の数字が
全部胸囲だったらいいのにな…
ジャン:
…確かに。
第六回 †
ジャン:
(まぁ、ケラットさんが妄想しなくたって、
僕には関係ないもんね〜!
これからもたくさん妄想するぞ!)
ケラット:
…………
ジャン:
お!
あの木の形!
女の子の腰の線にそっくりだ!
ムフフ…誰の腰に一番近いかなぁ…
ケラット:
…………
ジャン:
お!
あの果物の大きさと形!
実にそっくりだ…
…やっぱりそうだ…
あの人の胸に…
ムフフ…ムフフフフ。
ケラット:
…………
ジャン:
お!
聞こえるぞ…虫の声が…
この声は…
ケラット:
ダ、ダメ〜!!!
ジャン:
ケラットさん!?
ケラット:
その続きは僕がいう!!
この声は…
山賊に切り付けられた時の
あの人の声に似てる〜!!!
ジャン:
我慢できなかったようですね?
ケラット:
…うん。
ずっと我慢してたんだけど…
やっぱり無理だった…
ジャン:
いいじゃないですか!!!
ケラット:
ジャン?
ジャン:
妄想するのは個人の自由です!
誰にも迷惑かけてません!
ケラット:
!
ジャン:
さあ! ケラットさん!
不当な抑圧をはねのけるのです!
心を縛る鎖を断ち切るのです!
ケラット:
あ…ああああ…
ジャン:
自由を! 我らに妄想の自由を!
夢を求める心の叫びを
止めることは誰にもできないのです!!
ケラット:
おお…おおおお…!
ハ、ハラショ〜〜〜〜〜!
ボクは今、猛烈に感動〜!
そ、そうだよね!
妄想なくしてなんの人生か!
ビバ妄想! 妄想ばんじゃーーい!
ジャン:
それでこそケラットさんです!
共に突き進みましょう!
妄想の冥府魔道を!
第七回 †
ジャン:
(今日も星空が綺麗だなぁ…)
ケラット:
んふ…んん…
ジャン:
(ん?
今のはケラットさんの声!?)
ケラット:
んふ…んん…あっ…
ジャン:
(間違いない!ケラットさんだ…
しかも何かとんでもないことを
してそうな声だったぞ…)
(…いた!
ん…仰向けになって何してるんだ…?
ま、まさか!?)
ケラット:
んふ…はぁ…
う…あ…
よーっし! これで最後っと!
ジャン:
(なんだ…体を鍛えてたのか…)
ケラット:
…!
そこにいるのは誰!?
ジャン:
僕ですよ。
ケラット:
なんだジャンか…
どうしたの?
ジャン:
ケラットさんこそ、
こんな時間に鍛えてるなんて
どうしたんですか?
ケラット:
いや…最近食べ過ぎたみたいで、
お腹がちょっとね…
ジャン:
はははっ。
そうだったんですか!
ケラット:
そこ! 笑うな!
ボクだって女の子なんだからね!
ジャン:
それは、わかってますって!
ケラット:
ホントかなぁ…
ジャン:
ホントですよ!
さっきだって…
ケラット:
さっき…?
ジャン:
変な声だしてるから、
何かいかがわしいことでも
してるんじゃないかって…
ケラット:
…妄想したの?
ジャン:
はい!
妄想しちゃいましたよ!
ケラット:
許せない…
ジャン:
へ?
ケラット:
ボクは、妄想するのは好きだけど、
されるのは嫌いなのーーーーーっ!
ジャン:
ちょっと!
ケラットさん!
その角は危険では!!?
ケラット:
反省しなさい!
ジャン:
ギャー!!!
第八回 †
ジャン:
…イテテ…
(…まだ痛むよ…
こないだの、ケラットさんの頭突き…)
(あの角が刺さってたらって考えると…
ダメだ…想像だけで気絶しそうだ…)
(今日は僕を呼び出して
とどめを刺すわけじゃないよな…)
ケラット:
ジャン…
ジャン:
うわっ!
も、妄想しないんで!
この前のことはお許し下さい!
ケラット:
この前のことは、もう怒ってないよ…
今日は別の話があるんだ…
ジャン:
(よかった〜!!
ん? 別の話ってなんだ?
そういえばいつもと様子が…)
(これはまさかっ!)
(ここから妄想、キスシーン)
ケラット:
ハハハハハ…ま、まさか男の子とこんなことするなんて
さすがのボクも妄想してなかったよ
や、やさしくだよ…
ちょ、ちょっと緊張してるんだからね
でも、それ以上にボクわくわくしてきたよ
ボク、卵にいた時から妄想ばかりしてきたから
こういうのは初めてなんだ
妄想よりも…こっちの方が…
がおぉぉお…
(ここから現実)
ジャン:
…あああぁ…ケラットさん…!
山賊:
お、お前!
いきなり何するんだ!!
ジャン:
へ?
あ、え、なんで山賊が!?
ケラットさんは!?
ケラット:
この人、道に迷ったみたいだから、
ジャンに教えてもらおうと
思ったんだけど…
へぇ…ジャンって、
そっちもいけるんだ!
ムフフフ…
ジャン:
ち、違います!!
これは間違いで!
いーーーやーーーー!! 妄想しないで〜!!