アレイン
第一回 †
第二回 †
第三回 †
第四回 †
第五回 †
第六回 †
ジャン:
…この木に羽毛を仕掛けて、と…
よし、これで準備OKだ…
いつもいつもノワに負けてばかりで、
なかなかアレインさんに認めて
もらえないからな…
でも走り込みのコースにこの羽毛を
仕掛けておけば、薄着のノワは
くすぐったくて走れないはず!
よし…勝てる!
今日の走り込みは勝てるぞぉっ!
アレイン:
…さて、では今日も森の中での
走り込みを行う。
ふたりとも、真剣に競い合うように。
ノワ:
はいっ!
ジャン:
(…ふふふ、今日こそは…)
ノワ:
よーい…ドン!
アレイン:どうした、ジャン!
出遅れているぞ!
ジャン:
は、はいっ!
(…ふふふ、今日は出遅れても
いいんだもんね…)
ノワ:
…うふふ、あはははは!
く、くすぐったい〜!
ジャン:
(引っかかった!)
アレイン:
…あれは我が弟子ノワの…笑い声?
…ノワ! どうしたっ!?
ノワ:
…きゃはははは!
…戦士長! こっちにこないで…!
アレイン:
我が弟子ノワ! 大丈夫か!?
今助けて…むっ?
こ、これは…ふ、くく…っ!
ジャン:
おお…さすがは僕。
絶妙な位置に仕掛けた羽毛が
2人をくすぐっている!
ノワだけじゃなくてアレインさんまで
くすぐっているのは、嬉しい誤算だぞ。
それに、笑いながら身をくねらせている
2人の姿は、ちょっと色っぽいな…
アレイン:
おい、ジャン!
ぼんやり見ておらずに助けないか!
…くっ、ふくく…
ジャン:
さすがはアレインさん…
あれだけくすぐられても、
懸命に声を抑えている…
ノワ:
あははは、ジャン、たすけてー!
なんだかこのあたりのき、はねが
しっかりくっついてるの〜!
ジャン:
うーむ、それはおかしいねえ?
鳥の群れでも住み着いていたのかな?
アレイン:
そんなことはどうでもいい!
早く助けないか! …くくっ…
ジャン:
いやー、そう言われましても。
僕、走り込みをサボるわけには
行きませんので…でしょ?
アレイン:
くっ…そ、それはそうだが…
物事はもう少し臨機応変にだな…
ジャン:
いえいえ!僕は真面目一筋な
性格ですから!では、走り込みを
続けます!
ノワ:
あっ! ジャン、ずるいー!?
アレイン:
貴様、後で覚えておけよ!?
ジャン:
そう言われましても、これは事故ですから!
それでは失礼しまーす!
ジャン:
…やった!初めてノワとの勝負に
勝ったぞ!
…まあ、ちょっとだけ…ほんの
ちょっとだけ卑怯な手を使ったけど…
まあ、仕方ないよな!
元々、森でも勝負はノワが有利
だったんだし…
知略もまた実力のうち!
今回は僕の勝利だ!
それに、笑いをこらえるアレインさんの
表情も見られたしな…
あれはめったに見られるものじゃないぞ。
忘れないうちにさっきの様子を
脳に焼き付けておくことにしよう…
今日はいい日だった…むふふふ…
第七回 †
ジャン:
…はあ、今日も訓練の時間か…
アレインさんやノワと過ごせるのは
嬉しいけど…
やっぱり疲れるんだよなあ…
アレイン:
…
ジャン:
…っと、あそこにいるのはアレインさん
じゃないか。いけないいけない。
ボヤいているのを聞かれたら怒られるぞ。
…でも、アレインさん…
何をしているんだろう?
…拾っているのは…石ころ?
アレイン:
…よし、こんなところか…
次はあっちだな…
ジャン:
…アレインさん?
石ころなんか拾ってどうしたんですか?
まさか…その石ころで何かの訓練を?
アレイン:
おお、ジャンか。
…安心しろ。この石ころを貴様に
ぶつけたりはせん。
ジャン:
じゃあ…その石は一体?
アレイン:
走り込みや訓練の邪魔になるので
あらかじめ取り除いていたのだ。
ジャン:
えっ…? じゃあ、僕やノワの
ことを心配して…?
アレイン:
…別にそんな大げさなことではない。
訓練しやすい環境を整えるのも
教官の務めというだけだ。
ジャン:
じゃあ、やっぱり僕たちの
ためなんじゃないですか。
ありがとうございます!
アレイン:
…だから、大したことでは
ないと言っているだろう。
しつこいぞ、貴様。
ジャン:
アレインさん…もしかして…
…照れてます?
アレイン:
ばっ、馬鹿なことを言うな!
私は常に冷静だ!
ジャン:
でもアレインさん、耳の先まで
真っ赤ですよ…?
アレイン:
う、うるさい! 黙れ!
ジャン:
あはは…でも、本当にありがとう
ございます。
アレインさんは厳しいだけじゃなくて、
僕たちのことをいつも考えて
くれてるんですね…
アレイン:
…わざわざそんなことを口にするな。
貴様のほうがよほど恥ずかしいぞ。
ジャン:
いいじゃないですか、素直に感謝
してるだけですよ。
アレイン:
私に感謝しているというのなら、
少しでも強くなることだな。
教え子の成長こそが私の望みだ。
ジャン:
やっぱりそうなりますか…
…でも、期待に沿えるように
がんばりますよ。
アレイン:
…うむ、珍しくいい返事だ。
ジャン:
じゃ、僕も石拾いを手伝いますね!
アレイン:
うむ、我が弟子ノワが来る前に
2人でこのあたりの石を
全て取り除くぞ!
ジャン:
はいっ!
(アレインさん、僕が思っていたよりも
細やかで優しい人だったんだな…)
(前よりアレインさんが身近な
存在になった気がする。
今日は早めに来てよかったな…)
第八回 †
ジャン:
…なになに…「ひとりで森に来るように」
だって…?
どうしたんだろう、アレインさん。
わざわざ手紙で僕を呼び出すなんて…
訓練だったらノワと一緒に
呼ばれるはずだし…
…これはやっぱり…愛の告白!?
そうだよな…最近、アレインさんと
ぐっっと仲良くなれた気がするし…
ありえる、これはありえるぞぉっ!
<ここでキスイベント発生>
アレイン:
…来たか、ジャン。
ジャン:
わっ! あ、アレインさん!
…は、はい! 来ました!
…で、ご用というのは? …むふふ…
アレイン:
なあに、貴様に特別訓練を
受けさせてやろうと思ってな。
ジャン:
…へっ? 特別訓練…?
アレイン:
…そうだ。私がじきじきに、な。
ジャン:
…あれ…なんだか、真剣な
構え方ですけど…
…教官…なにか、怒ってます?
アレイン:
いいや? ただ全力で
相手をしてやろうというだけだが?
ジャン:
そ、それって、怒ってますよね?
…どうして?
アレイン:
以前、お前が一度だけ我が弟子ノワに
勝った訓練の後、森の中を
よく調べてみたのだ…
…すると、あの木々には、どう見ても
人為的に羽毛が取り付けられていた
ことが判明した。
ジャン:
うっ…! あ、あれは、その…
アレイン:
今さら見苦しい言い訳はするなよ?
ジャン:
あ、あれはただ…僕はただ、
アレインさんに100点をもらって…
アレイン:
もらって?
ジャン:
ただ、アレインさんにエッチなご褒美を
もらいたかっただけなんです!
男として、仕方なかったんです!
アレイン:
…それが、なんの理由になる!
マイナス100点!
ジャン:
しょ、ショックのパー!?
アレイン:
今日は貴様を、
徹底的に鍛えなおしてやる。
自分の足で戻れると思うな!
ジャン:
ひ、ひぃぃぃ…!
が、がんばったのにぃ…
努力の方向を間違えたぁ〜…!