[[フェアリー]] 暫定的に"フェアリー"のデフォルト名"シャルロット"で載せる事にします。 #contents *第一回 [#i839ef7e] ジャン: 最近、全然ゆっくりしてなかったし、 たまには散歩でもしようかな〜。 ???: きゃっ! ジャン: ん? 今の声は… ???: ちょっと! あぶないでしょ?! ジャン: 声はするのに、姿は見えず… ま、まさか! ゴースト!? 助けてメルファさーん! シャルロット: そんなわけないでしょ! えいっ! ジャン: いたっ! いきなり足が… って、シャルロットさん! 何するんですか、いきなり! シャルロット: 当然の報いでしょ! わたしを蹴飛ばそうとした上に 謝りもしないなんて… ジャン: え? あ、そうだったんですか… すいません、全然気づきませんでした。 シャルロット: っ! 私を上から 見下ろすんじゃないっ! ジャン: いったぁっ!! す、すねが…折れてはいないけど… 真紫色に… シャルロット: 自業自得よ! しばらくそうして転げてなさい! ジャン: そ、そんな…僕、 何か悪いことしました…? シャルロット: ふんっだ! わたしが小さいからって、 偉そうにするんじゃないわよっ! ジャン: えぇ、そんなつもりじゃ… そもそも、小さくて 何が悪いんですか? シャルロット: ま、また言った…!! ジャン: 僕は、大きくても小さくても 気にしませんよ! シャルロット: …大きいからって… ジャン: え? シャルロット: 大きいからって、 威張るんじゃないわよっ!! ジャン: えぇ?! 僕がですか? …も、もしかして、胸の話じゃ なかったんですか? シャルロット: 身長の話よ! ジャン: あ、そうだったんですか! 僕は、てっきり貧乳で悩んでるのかと… シャルロット: っ! う…うるさぁぁぁぁいっ!! ジャン: ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! シャルロット: ふんっ! ジャン: な…なるほど… ちっちゃいは禁句なんだ… き、気を付けよう…げふぅ… *第二回 [#i839ef7e] *第二回 [#ib0ded87] ジャン: よし! 足元には誰もいないな… はぁ…散歩するのも一苦労だなんて… でも、うっかりすると この前みたいなヒドイ目に… シャルロット: そうなの…ふふ… ジャン: はっ! シャルロットさんの声! 良かった、足元じゃない… 向こうの方から聞こえるな… シャルロット: そうなんだ! みんな、この近くに住んでるのね。 ジャン: あ、いたいた! シャルロットさんと… 何だろう、あの生物? 鹿のような牛のような… シャルロット: きゃっ! そんなトコなめないで! きゃはは! くすぐったいから! ジャン: むふぉ! 妖精と異形のからみ… うっ…鼻血が出そう… シャルロット: あっ! そこっ… ダメだったら・・・! んっ! くすぐったい…ってば! もう! ジャン: な、何と言う桃源郷… グッジョブ! 謎の生物! そうだ! この素晴らしい光景を 後世に伝えなくては…! 紙とペン…紙とペン… あった! …目の前に現れた光景は、 可愛らしい妖精が奇妙な生物に なめ回されるという、何とも… シャルロット: …あれは、精霊の一種よ。 地面から生まれるの。 ジャン: あ、そうなんですね! ありがとうございます。 奇妙な精霊になめ…はっ! あ、シャルロットさん…? そ、そんなところで何を…? シャルロット: それは、こっちのセリフなんだけど。 そんなところで何をしてるの? ジャン: いや、僕はその…心穏やかに書物を したためようかなーなんて… シャルロット: のぞきをしながら? ジャン: えーっと、それはその… シャルロット: ふん! これだから人間は…! もう、近づかないでよね! ジャン: …ふぅ、助かったぁ! また、手榴弾を食らうかと思った… 今度は、見つからないように そーっと近づこう… ん? 何だ、今の音…って、これは! シャルロットさんのマイク型手榴弾!? しまっ…!! …あれ? 爆発しないな… よかった、不発だったのか! ラッキー! よぉし! 追跡再か… ぎゃあぁぁぁぁっ! …じ、地雷…? そ…そうか…あのマイクには… こういう使い方もあるんだ…げふっ。 *第三回 [#i839ef7e] *第三回 [#m2045c55] ジャン: ん…? こんなところに血痕が… 向こうの方まで続いてる… モンスター…じゃないな。 人か亜人のものっぽいけど… 山賊だったりしないよな…? …何にせよ、ヒーラーとして けが人は放っておけないな… 一応、行ってみるか… シャルロット: …痛っ…くっ! ジャン: シャルロットさん! ど、どうしたんですか、その腕! シャルロット: ジャン! 何、またのぞき!? ジャン: 違いますよ! 地面に血が付いてたから、 誰かケガしたのかと思って、 たどって来たんです! そんなことより、その腕の傷は? シャルロット: っ! べ、別に何でもないわよ… さっき、戦闘中に転んで、 そばの石で切っただけ! ジャン: 意外とうっかりさんなんですね… ともかく、傷を見せてください。 シャルロット: …何よ、杖なんか取り出して? ジャン: 何って、治療ですよ! 血が出てるじゃないですか。 シャルロット: いや。 ジャン: は? シャルロット: 人間なんかに助けてもらうなんて、 絶対にいや! ジャン: そんな、意地張らなくても… と言うか、何でそんなに 人間を嫌うんですか? シャルロット: …胸に手を当てて、 よく考えなさいよ。 ジャン: では失礼して… シャルロット: 自分の胸よ! ジャン: 冗談ですよ。 場を和ませようと思いまして… シャルロット: 全く… ジャン: あはは、すいません。 じゃ、改めてヒールを… シャルロット: だから、いらないってば! こんな傷すぐ治るし、 人間の助けなんていらない。 ジャン: …分かりました。 じゃあ、帰っちゃいますよ? 本当に大丈夫なんですね? シャルロット: …… ジャン: …あぁ、大変だぁ。 傷薬を落としてしまった。 おかしいなぁ、見つからない。 シャルロット: 急に何よ? ジャン: まぁいいか。また調合しよう。 シャルロット: 何よ、下手な芝居して… 人間のくせに…変なやつ… *第四回 [#i839ef7e] *第四回 [#o57be794] ジャン: うーん…シャルロットさんってば、 何であんなに人間を嫌うんだろう? ヒールもさせてくれないなんて、 よっぽど嫌いな証拠だよなぁ… 一体、どうすれば仲良く なれるんだろう… 何か、共通の話題でもあれば、 少しは話が出来るのかな… 精霊: …… ジャン: うーん…おや? あの鹿みたいな奇妙な生物は… 地面から生まれる精霊だっけ…? そう言えば、シャルロットさんって 精霊と仲がよさそうだったな。 ってことは、精霊と仲良くなれば、 シャルロットさんとも、少しは仲良く なれるかも…! とりあえず、話しかけてみよう! あの〜… 精霊: ……!! ジャン; あ、逃げられた…! って、足早っ! 走って追いかけるのは、 絶対に無理だな… よし! こうなったら、 ワナを仕掛けよう! 足さえ封じれば、きっと…痛っ! 何だ!? 頭に何かが…って、これは! マイク型手榴弾…! ぎゃあぁぁぁぁっ! シャルロット: 精霊をいじめるな!! ジャン: あ、シャルロットさん!? 何でこんなところに? シャルロット: 精霊に呼ばれたからよ! 人間に襲われている、 助けて…ってね! ジャン: 言葉がわかるんですか?! シャルロット: 妖精なんだから、当たり前じゃない! そんなことより、精霊を捕まえて いったい何をする気だったの?! ま、まさか…食べ… ジャン: そんな、誤解です! これには深いわけが… シャルロット: 何を今さら…! ワナがどうとか言ってたじゃない! ジャン: はっ! 目的を見失ってた! 違うんです! ただ、仲良くなろうと 思ってただけなんで… またかぁぁぁぁぁっ! シャルロット: 全く! これだから人間は…! ちょっと見直してたのに… ジャン: …ご、ごめんなさい…がくっ… *第五回 [#i839ef7e] *第五回 [#gdc12863] シャルロット: どうしよう…このままじゃ… ジャン: シャルロットさん。 どうしたんです? 何か困りごとですか。 シャルロット: ジャン! …何でもないわ、 人間には関係ないことよ! ジャン: で、でも…すごく困ってるように 見えるんですけど…そんな時は、 お互い様ですよ! シャルロット: …… ジャン: …シャルロットさん? シャルロット: …仕方ない…ジャン、 傷薬、売ってもらえない? ジャン: え? すいません、 ちょうど切らしてるんですが… どこかケガしたんですか? シャルロット: …タイミングが悪い… こうなったら…! ジャン: 何ですか? シャルロット: …ついて来て! ジャン: え? あ、待ってください! 精霊: …… ジャン: この奇妙な生物は… もしかして精霊ですか? ケガをしてるみたいですが… シャルロット: あなた、ヒーラーだったわよね? この子の傷、直せるわよね? ジャン: え、えぇ、もちろん… じゃ、早速… 精霊: ……! ジャン: 大したケガじゃなさそうです。 すぐに動けるようになりますよ。 シャルロット: よかった…ケガしてるの見つけて、 どうしようかと… ジャン: こんなことなら、もっと気軽に 頼んでくれてもいいのに… シャルロット: …代償は何? ジャン: 代償? もしかして、 今のヒールですか? シャルロット: そうよ。人間は、何をするにも 代償を取るものなんでしょ? あぁ、だからさっき傷薬を売れと… 別にこれくらい、いいですよ。 大したことしてませんし… シャルロット: そんなこと言って、後から急に 何か要求するんでしょ! ジャン: そんなことしませんって! …分かりました、それじゃあ、 僕を信用してください。 シャルロット: …何それ? ジャン: そのままの意味ですよ。 後から、何か要求なんてしません。 信じてください、それが要求です。 シャルロット: それだけ? お金とかじゃないの? ジャン: まぁ、一人前ならともかく、 僕は半人前のヒーラーですし… シャルロット: ふーん…人間にしては、いいや… じゃなくて、変わってるわね。 ジャン: そうですか? 僕はむしろ、 すごくまともなつもりですけど。 シャルロット: …ありがと…! ジャン: え? 今、何て… あ、行っちゃった… もしかして、お礼だったのかな…? *第六回 [#i839ef7e] *第六回 [#i3f0662a] ジャン: …ん? 何の音だ? 何か聞こえる… これは…声? じゃなくて、歌? こんなところで、歌が聞こえるなんて… 向こうから聞こえるな… シャルロット: 〜♪ ジャン: うわ! 精霊がいっぱいいる…! あれ? 中心にいるのは… …シャルロットさん? 歌詞は分からないけど、 すごく綺麗な歌声だ… …妖精の言葉かな? 精霊たちも聞き入っている…ように見える。 …せっかくだし、 もうちょっと近くに… 精霊: …!!! ジャン: わっ! ご、ごめん! 尻尾踏んじゃった! シャルロット: 誰! …人間?! 見られたからには、ただでは… ジャン: ちょっと待って! マイクを投げないでください! ぼ、僕ですよ! シャルロット: …何だ、ジャンだったの? もう、驚かせないでよ。 ジャン: それは、僕のセリフですよ! いきなり、マイクを投げようと しないでください! シャルロット: そういうしきたりなの。 歌う姿を人間に見られてはいけない。 見た者は… ジャン: み、見た者は…? シャルロット: まぁ、あなたは悪い人間じゃ ないみたいだから、見逃してあげる。 ジャン: (よ、妖精って… 意外と怖い生物だったんだ…) …それにしても、シャルロットさん、 そんな特技があったんですね! すごく綺麗な声でした! シャルロット: ふふ…歌うの好きだから、 そう言ってもらえると嬉しい… ジャン: (あ、照れてる…) シャルロット: さて、と。 今日はもう、おしまいね。 ジャン: え? まだちょっとしか 聞いてないんですけど… シャルロット: だって、さっきの騒ぎで 観客の精霊たちが いなくなっちゃったし… ジャン: あの…まだ僕がいるんですけど… シャルロット: ダーメ! 見逃すだけで 十分特別なんだから! 独り占めなんてさせないわよ? ジャン: えぇ〜そんなぁ〜… *第七回 [#i839ef7e] *第七回 [#f67eb7cb] ジャン: …… ???: ジャン!! ジャン: この、足元から声が聞こえる パターンは…シャルロットさん? シャルロット: ちょっと! 見下ろさないでよ! ジャン: そう言われても、身長差はどうにも… って、空飛べばいいじゃないですか。 シャルロット: それもそうね…よっと! せっかくだから、たまには 見下ろす位置に… ジャン: っ! 純白のパンティ…!! シャルロット: …! 何するのよ! このスケベ!! ジャン: 痛っ! 自分からその高さに 飛んだんじゃないですか! シャルロット: 全く…人間は油断もスキもない… って、それどころじゃなかったわ! ジャン、ついてきて! ジャン: あ、ちょっと! 待ってください! 精霊: …… ジャン: (タヌキっぽいけど… 何か変な生物がいる…) もしかして、また精霊が ケガしたんですか? シャルロット: うん、助けを呼ぶ声が聞こえて… ジャン、ヒールをしてあげてくれない? ジャン: もちろんいいですよ。 じゃ、早速… 精霊: ……! ジャン: この精霊も、大したケガじゃないです。 きっとすぐによくなると… シャルロット: さ、次に行きましょ! ジャン: え? あ、ちょっと! 精霊: …… ジャン: (今度は…何だろう? 形容しがたい形をしている…) …この精霊もですか? シャルロット: うん。 ジャン: 分かりました… 精霊: ……! ジャン: あの…さっきの精霊もそうですけど、 あんまり大したケガじゃ ないみたいですけど… シャルロット: 終わったわね! それじゃ、次に行きましょ! ジャン: えぇ〜?! ジャン: …はぁ…はぁ…はぁ… こ、こんなにヒールをしたのは、 初めてです… シャルロット: お陰で、この辺りの精霊は、 みんな元気になったわ! ジャン: それはいいんですが… 大したケガじゃない精霊が 多かったような気が… シャルロット: でも、痛がってるのに放っておくのも、 気分が悪いじゃない? ジャン: それはそうですが… さすがに…疲れました… シャルロット: あ、また精霊の声が… ジャン: えぇ!? もう限界です… シャルロット: …仕方ないわね。 今度、特別なお礼をしてあげるから、 もうちょっと頑張って! ジャン: 特別? 一体どんな…? シャルロット: それは、その時のお楽しみよ。 ジャン: …はぁ、分かりましたよ… *第八回 [#i839ef7e] *第八回 [#lfdf86be] ジャン: シャルロットさん… こんなところに呼び出すなんて… この前のお礼を、って言ってたけど、 何でわざわざ、こんな人気のない 場所に…? まさか…愛の告白?! わたし自身がお礼よ…?! …なわけないよな。 種族が違うし、体格も違うし… いや、待てよ…! 昔読んだ神話に、 人間と結ばれた神様ってのが いた気がする… シャルロット: 神様がどうしたの? ジャン: !! い、いえいえいえ! 何でもありませ〜ん! そ、そんなことより、 何でこんな場所に 呼び出したんですか? シャルロット: それは…その… もう、分かってるくせに! ジャン: (え? 照れリアクション?!) (人気のない場所に呼び出して… しかも照れた雰囲気… ひょっとして…ひょっとするのか…?) シャルロット: 特別なお礼を…しに来たの…! ジャン: (来たこれー!!) (ここから妄想) ジャン: みなまで言わないでください… シャルロットさんのお気持ちは、 よく分かりました… シャルロット: え? ジャン: 愛の前には、種族も体格差も 関係ありませんよ! それに… シャルロット: それに…? ジャン: 僕は…ちっちゃい人も大好きです!! シャルロット: ちっちゃいって言うな…もう! …でも、嬉しい… ジャン: (か、かわいい…) シャルロット: ジャン… ジャン: シャルロットさん… (キスシーン) シャルロット: ねえ、触ってみて 小っちゃいけど…ドキドキしてるのがわかる? ちょっと、怖いけど… 来て… ん…溶け…ちゃいそう… (現実) シャルロット: ちょっと、ジャン! 何よ、その顔! ちゃんと聞いてる? ジャン: え、あれ? シャルロット: やっぱり聞いてない! せっかく気持ちをこめて歌ったのに! ジャン: …それは…どういう…? シャルロット: もう! どこから聞いてなかったのよ! この前のお礼だってば! ジャンのためだけに歌うって… ジャン: 特別なお礼って… シャルロット: 当たり前でしょ! 人間の前で歌うのだって特別なのよ? 人間のために歌うんだから、 それはもう、すごく特別!! そんな名誉な人間、 ジャン以外には、 きっと誰もいないわよ? ジャン: あ、ありがとうございます… (し、しまったぁ…! 妄想にハマりすぎて… 大事なものを聞き逃しちゃった!)