フリートーク(九尾の狐系)
をテンプレートにして作成
[
トップ
] [
新規
|
一覧
|
単語検索
|
最終更新
|
ヘルプ
]
開始行:
[[九尾の狐]]
暫定的に"九尾の狐"のデフォルト名"天狐"で載せる事にします。
#contents
*第一回 [#i839ef7e]
ジャン:
……ううっ…まさか散歩してたら、
こんな場所に迷い込むだなんて…
今にも何か出てきそうでおっかな…
???:
そこの者、ここで何をしておる。
ジャン:
ヒィッ!?
な、ななな、何今の声…!?
天狐:
なんじゃ、おぬしか……
ジャン:
天狐…さん…?
どうしてここに…?
天狐:
それはこちらが先に聞いておることじゃ。
ジャン:
……僕は散歩してたら、
迷ってしまって…
天狐さんは、
どうしてここにいるんですか?
天狐:
ワシかえ?
ワシは幼き者たちと
戯れておっただけじゃ。
ジャン:
幼い…って、こんなところに
ちいさな子供がいたんですか?
天狐:おぬしが考えているのは
人間の子どもじゃろう?
ワシが言うておるのは、狐の方じゃ。
ジャン:
あ〜、天狐さん、
元は普通の狐だったんでしたっけ?
天狐:
左様じゃ。
いかにも、元はワシも
小さな子狐の1匹じゃった。
じゃから、このあたりから
鳴き声が聞こえた時に、
つい懐かしくなってしもうての。
ジャン:
じゃあ、その頭の上にある耳も、
本物なんですよね?
髪飾りの一種とかじゃなくて?
天狐:
何じゃ? ワシを疑っておるのか?
何なら触ってみるがよい。
ジャン:
……えっ……いいんですか…
天狐:
いいも何も、
ワシがよいと言っておるのじゃ。
はよう触って、本物だと確認せんか。
ジャン:
それじゃあ…お言葉に甘えて、
失礼します…
天狐:
……んっ。どうじゃ、
血も通っておるじゃろう?
ジャン:
そうですね。
あったかくて、それにモフモフしてて、
触り心地がいいです。
こう、ずっと触っていたいような、
そんな気分になりますね…
天狐:
これで…んっ…わかったじゃろう?
ワシの…ふぁっ…耳が…
本物じゃということに…
ジャン:
はい、よくわかりました……
それにしても……はぁ…はぁ…
触ってて気持ちいいですよ。この耳……
はぁ…はぁ…
天狐:
……それでおぬし、
いつまで……ひゃっ…
ワシの耳に触っておる……んぁっ…
さっきから…ぁんっ…
ずっと、くすぐったい…んぅっ……
のじゃが…
ジャン:
……はぁはぁ……できれば、
もうしばらく……はぁはぁ…
*第二回 [#efba9719]
ジャン:
天狐さん?
川の前で何してるんですか?
天狐:
何じゃ、おぬしか。ワシに何の用じゃ?
ジャン:
いえ、たまたま通りかかったんで、
声をかけてみただけです。
天狐:
たったそれだけのことか。
それはそれで、何ともつまらんのう。
今しがた眺めていたこの川と同じじゃ。
ほれ小僧、何か余興でもないのか?
ジャン:
……こ、小僧って…余興って…
天狐:
ないならないで、
何か酒のつまみにでもなりそうな
愉快な話でもないのか?
ジャン:
……じゃあ今、思ったんですけど、
どうして天狐さんって、
言葉遣いがこう…
天狐:
何じゃ、古臭いとでも言いたいのか?
ジャン:
そういうわけじゃないんですけど…
ちょっと、時代がかっている感じが
気になって…
天狐:
……ふむ。そういうことか…
それなら、説明は簡単じゃな。
それはのう、
ワシがおぬしら人間と違って、
遥に長い年月を永らえておるからじゃ。
ジャン:
100年とか、200年くらい
ってことですか?
天狐:
その程度、小僧小娘とそう変わらんのう。
ワシはかれこれ、
1万年以上は永らえておる。
もっとも、途中で数えるのも
面倒になったゆえ、
正確なところは覚えておらんがの。
ジャン:
……そ、そんなに生きてたんですか、
天狐さん…
どうりで話し方も
今の人と違っているわけだ…
天狐:
なに、崇め奉って、
存分に敬ってもよいのじゃぞ?
ジャン:
じゃあ、天狐さんて、
すっごいおばあちゃんなんですね?
天狐:
…………なんじゃと?
小僧…もう1度言ってみよ?
ジャン:
……いや、だから…
そんなに長い間生きてたら、
もう立派過ぎるおばあちゃんだって…
天狐:
…………おぬし、
なかなかいい度胸じゃのう…?
ジャン:
……あの、天狐さん?
何だか顔が怖いんですけど…
天狐:
夜道を歩くときは、
せいぜい気を付けるがよい……
このようにのう?
ジャン:
ひっ!
な、なんで攻撃してくるんですか!?
天狐:
それは自分の胸に聞くのが
一番早いんじゃないかのう?
長い時間を永らえてるワシも、
おぬしからしたら『年寄り』なんじゃ。
聞くまでもなかろう?
ジャン:
よく分からないけど、謝りますから、
攻撃しないでくださいってば〜〜〜っ!
*第三回 [#i5125808]
ジャン:
あれ、天狐さん、寝ているのかな?
天狐:
……ん? おや、小僧か?
ジャン:
(……そういや、あの髪型、
かなり独特な感じだよな…
毎日、どうやって整えてるんだろ…)
天狐:
どうしたのじゃ?
ワシの顔に何かついておるのか?
ジャン:
いえ、そうじゃないんですけど…
天狐:
何じゃ、歯切れが悪いのう。
はっきり言うてみい。
ジャン:
……あの、天狐さん?
その髪の毛って一体、
どうなってるんですか?
天狐:
ワシの頭に付いておる、
この房のことを言っておるのかえ?
ジャン:
はい。ちょっと、
尻尾にも見えるんですけど、
そういう風にしてあるだけですよね?
束ねたものを、
その尻尾みたいなのにしまっている
っていうことで、いいんですよね?
天狐:
いいや、これはワシの尾の一部じゃが?
ジャン:
……えっ……
な、なんで頭に尻尾があるんですか?
天狐:
尻に9本も付けておると、
歩きにくいのでのう。
バランスを取るため、
頭に付けておるのよ。
尻と頭で、ちょうど九尾よ。
ワシが九尾の狐であるゆえにのう。
ジャン:
…………っぷ!
髪の毛が尻尾って…!!
合わせて九尾って!!
天狐:
…………何じゃ?
何かおかしなことでも言ったかのう?
ジャン:
ぷぷっ! あはははっ!
天狐さん、冗談面白いなぁ、もう!
あははっ!!
天狐:
……小僧、おぬし…
ワシを小馬鹿にしとるのか?
このワシを…
ジャン:
ヒイ〜〜〜〜ッ!
な、何をするんですか!?
天狐:
……問答無用じゃ。
おぬしは少々痛い目を見て、
反省するがよい。
ジャン:
なんでこうなるの〜!
ギャーーーッ!
天狐さん、止めてーーーっ!
*第四回 [#ifd6cd67]
ジャン:
あれ、天狐さん?
こんなに暗いのに空なんか見て、
何かあるんですか?
天狐:
月見じゃ、月見。
風情の分からん小僧じゃのう。
ジャン:
あー、そう言えば、
今日は月がよく見えますよね?
天狐:
うむ。おぬしもたまには
月見とでも洒落込んでみたらどうじゃ?
そうしてゆっくりするのも……
悪くはなかろう?
ジャン:
……そうですね。のんびりして、
自分なりにリラックスする時間も、
今は必要かもしれないですね。
天狐:
じゃろう? 最近はおぬしも、
少々気が張ってたのではないか?
まあ今宵くらい、
先々の苦労も忘れて、
安らかに過ごすのもよかろう。
ジャン:
はい。僕もそうすることにします。
ジャン:
それでですね、天狐さん…
お嬢様ったら、ひどいんですよ〜。
まったくその通りなんですよ!
……はぁ〜…
天狐さんだけですよ、
僕の話をちゃんと聞いてくれるの…
天狐:
くくくっ。
こうも簡単に化かされて、
自分の杖に話しかけるとは…
なんとも間抜けな奴じゃ。
これはなかなか、
今後も化かし甲斐がありそうじゃの〜。
*第五回 [#cdf75452]
ジャン:
……こないだはヒドイ目に遭ったな…
まさか、話の途中から、
天狐さんに
化かされてただなんて…
う〜ん……これも精神修行の一環、
という感じに開き直っておいた方が
いいのかなぁ…
天狐:
……小僧、おぬし、
何をさっきからブツブツと
言っておるのじゃ?
何か、珍妙な熱病にでも
かかっておるのかえ?
ジャン:
天狐さん!?
今の聞いてたんですか!?
天狐:
ここに来たら、聞こえてきただけじゃ。
そもそも、おぬしが勝手に
話しておったのじゃろうに。
ジャン:
……それはそうですけど…
天狐:
ところでおぬし、その包みは何じゃ?
なにやらワシの好きな匂いがするぞい。
ジャン:
ああ、これですか。
天狐さんが好きらしいって聞いて。
もしよかったら、どうぞ?
天狐:
こ、これは!
ワシの大好物のお揚げではないか!
ジャン:
半信半疑だったんですけど、
本当だったんですね?
天狐:
うむ、左様じゃ。
では、さっそくいただくぞい。
……もぐもぐ……うまいのう……
もぐもぐ…うまいのじゃ…
ジャン:
(……こんなに嬉しそうに食べて……
本当に好物だったんだなぁ…)
(僕ともこれを機に、
もう少し話してくれるように
なればいいんだけど…)
天狐:
……ふぅ……よう食った…
満足、満足……
次も持ってくるのじゃぞ?
ではまたの。
ジャン:
え、はい。そうします……
って、ええっ!?
お、お揚げ食べたら、
即帰っちゃうんですか!?
冷たいなあ…
*第六回 [#f22eccd3]
ジャン:
あー、いたいた。天狐さん。
こないだ言われた通り、
今日もちゃんと持ってきましたよ?
天狐:
なんとまぁ、律儀な奴じゃのう。
ワシとしては、お揚げが食べれて
満足じゃがの。
大好物のお揚げ、ありがたく、
ちょうだいしておくことにするかのう。
今回も悪いのう。
わざわざ、ワシの大好物を
持参させてしもうて。
ジャン:
いえいえ。これくらい、
お安い御用ですよ。
天狐:
そうは言ってものう。
ワシにもお揚げの礼をする
義理があるでな?
すぐにとは言わんが、近いうち、
何かしらの形で礼をさせてもらうぞい。
ジャン:
そんなに気にしないでいいですよ。
僕は天狐さんと、
少しでも仲間として打ち解けられたらって
思ってるだけですから。
天狐:
そうか…? ふむ…そういうことならば…
ワシもおぬしと仲間づきあいをするに…
やぶさかではない…かの。
ジャン:
え! ホントですか!?
天狐:
ああ。本当じゃ。その証拠に…
ワシの尻尾を握ってもよいぞ。
ジャン:
尻尾を…ですか? それは、確かに
もふもふして気持ちよさそうですが…
何か特別な意味が?
天狐:
うむ、これはの、
ワシら狐族の間で親しいもの同士が
親愛の情を表すあいさつじゃ。
まあ、お前ら人族でいうと、
握手のようなものじゃな。
ジャン:
なるほど…握手ですか。
でも…どの尻尾を握れば?
天狐:
ん?ああ、どれでもかまわん。
好きなのを握るがよい。
ジャン:
わかりました。では…これで!
よろしくお願いします!
天狐:
はぅ……っ! くぅ……んっ!
ば、ばかものぉ…! い、いきなり…
握るでなぃ…はぁあん…
ジャン:
ご、ごめんなさい! 手、放しますから!
天狐:
だ、だめじゃ…小僧、手を放すな…
尻尾を…尻尾を優しくこするのじゃ…
ふぁああぁん!
ジャン:
天狐さん!?
天狐:
は、早く…早く…っ! ぁあああ…
あうぅんっ!
ジャン:
天狐さん、
尻尾が…ぴくぴく震えてますよ。
き、気持ち…いいんですか!?
わ、わかりました。もっと激しくですね?
こうですか? なんとなくわかります…
天狐:
くくくっ。
この小僧、またも簡単に化かされとるわ。
……もぐもぐ……あぐあぐ……
このじゅわっとしみだす汁と食感…
たまらんのう…
しかし、なんじゃな。
面白い見世物を見ながら食べると
普段にもましてお揚げがうまいのう。
*第七回 [#d0e11090]
ジャン:
……こないだも、
また化かされてしまった…
一体いつの間に、
僕は化かされていたんだろう…
でも今度こそ、
今日こそは化かされないぞっ!
天狐:
うむ。小僧、今宵もおったか。
感心じゃな。
ジャン:
ちゃんと今回も、
天狐さんの好きなお揚げ、
持ってきましたよ?
天狐:
阿呆とばかり思うとったが、
これでなかなか聡くなったものじゃな。
褒めてつかわすぞい。
毎度毎度すまんのう。
では、ちょうだいするかのう。
ジャン:
(そういや、こうやってお揚げを
渡すあたりから化かされて……
まさか!)
……はっ!
天狐さん、
また僕を化かしてますね!
天狐:
おぬし、何を言うておるのじゃ?
今日のワシは寛大ゆえ、
さようなことをする気など、
さらさらないのじゃが?
ジャン:
またまた〜! 天狐さん、
いつもそうやって
僕を化かしてるんですね?
でも、今日の僕は一味違います!
今回ばかりは、そうは行きませんよ〜!
天狐:
……ふむ。
何を言うても無駄なようじゃのう…
ジャン:
そうやって優しいフリをしてるのも、
すでに僕を化かしに
かかってるからですよね?
天狐さんが、
素直にお礼を言うとは思えないですし!
天狐:
……何じゃと…?
小僧、ワシを馬鹿にしておるのか?
ジャン:
馬鹿にだなんてしていませんよ?
ただ、今の化かされた状態を
なんとかしたいだけです。
天狐:
……ほほう……ならば、
その間抜けな目を……
はよう覚まさせてやらんといかんなぁ…
ジャン:
うぎゃっ!
あ、あれ? なんか痛い…
えっ、ええっ!?
これって、夢じゃないの!?
天狐:
このたわけめが!
最初から『化かしておらん』と
言うておるじゃろうに!
これから十分に痛い目を見て、
反省するがよい!
ジャン:
ぎゃ〜〜〜〜〜っ!!
ば、化かされてなかったの〜〜〜〜っ!
天狐:
待たんか小僧!
このワシが直々に、
たっぷりと折檻してくれるぞ!
ジャン:
うわ〜〜〜っ!
天狐さん、
ごめんなさい〜〜〜〜〜い!!
*第八回 [#i163f8e3]
ジャン:
……天狐さん…
僕なんか呼び出して、
どうする気なんだろう…
ま、まさか……こないだ、
化かされてないのに、化かしてるって
言って、怒らせちゃったから…
そのおしおきの続きなんじゃ…
ど、どうしよう…
(ここから妄想)
天狐:
ふむ。定刻通りに来ておるようじゃの、
小僧。
ジャン:
すっ、すいませんでした!
天狐:
どうしたのじゃ? おぬし、
ワシに何か謝るようなことをしたのか?
ジャン:
こないだ、
化かされてない時に
怒らせてしまったので!
天狐:
ああ、そのことか。
それはもうよいのじゃ。
十分に反省してもろうたからのう。
ジャン:
……そ、それじゃ…
今日はこないだの続きじゃ
なかったんですか…?
天狐:
終わったことを
今になって続けてどうする?
おぬしはほんに、
可愛げのある阿呆じゃのう。
ジャン:
それなら、今日は何で
僕を呼び出したんです?
天狐:
まだ気付かんのか?
おぬしは阿呆な上に、
鈍感な奴じゃのう?
まぁ、時おり化かして
からかうこともあるが、
何度も会って、話をしておるのじゃぞ?
ワシがおぬしのことを気に入っておる、
ということじゃ。
そのくらい、男なら自分で気付かんか。
この馬鹿たれが。
ジャン:
……そ、それって……
もしかして、本当に天狐さんが……
僕のことを…?
天狐:
……とことんまで鈍い奴のよう…
まったく……
ワシが目をつぶっている間だけじゃぞ…
しかし、永らく生きてきたが、
こんな気持ち…久しゅうなかったわい…
ジャン:
は、はいぃーっ!
(キスシーン)
天狐:
まだか?はよせい…
いつまで待たせるつもりなのじゃ?
男ならいさぎようせんか
せっかくワシがここまで積極的になっておるのじゃぞ?
小僧、待ちくたびれたぞ
さあ、ワシの熱く濡れた唇に、おぬしのそれを…
お揚げよりも甘美な味、今すぐ確かめさせるのじゃ
(ここから現実)
ジャン:
……うーん……天狐さーん…
天狐さんって、
結構抱き心地が良いんですね〜…
それに良い匂いがします…
こんなに色っぽいと……
僕もう、たまらないですよ……
むちゅ〜っ…
天狐:
かははははっ!
こやつ、また化かされおって!
ほんに化かし甲斐のある奴じゃて!
めんこくてたまらんのう!
ジャン:
むちゅ〜っ! 天狐さぁ〜ん……
終了行:
[[九尾の狐]]
暫定的に"九尾の狐"のデフォルト名"天狐"で載せる事にします。
#contents
*第一回 [#i839ef7e]
ジャン:
……ううっ…まさか散歩してたら、
こんな場所に迷い込むだなんて…
今にも何か出てきそうでおっかな…
???:
そこの者、ここで何をしておる。
ジャン:
ヒィッ!?
な、ななな、何今の声…!?
天狐:
なんじゃ、おぬしか……
ジャン:
天狐…さん…?
どうしてここに…?
天狐:
それはこちらが先に聞いておることじゃ。
ジャン:
……僕は散歩してたら、
迷ってしまって…
天狐さんは、
どうしてここにいるんですか?
天狐:
ワシかえ?
ワシは幼き者たちと
戯れておっただけじゃ。
ジャン:
幼い…って、こんなところに
ちいさな子供がいたんですか?
天狐:おぬしが考えているのは
人間の子どもじゃろう?
ワシが言うておるのは、狐の方じゃ。
ジャン:
あ〜、天狐さん、
元は普通の狐だったんでしたっけ?
天狐:
左様じゃ。
いかにも、元はワシも
小さな子狐の1匹じゃった。
じゃから、このあたりから
鳴き声が聞こえた時に、
つい懐かしくなってしもうての。
ジャン:
じゃあ、その頭の上にある耳も、
本物なんですよね?
髪飾りの一種とかじゃなくて?
天狐:
何じゃ? ワシを疑っておるのか?
何なら触ってみるがよい。
ジャン:
……えっ……いいんですか…
天狐:
いいも何も、
ワシがよいと言っておるのじゃ。
はよう触って、本物だと確認せんか。
ジャン:
それじゃあ…お言葉に甘えて、
失礼します…
天狐:
……んっ。どうじゃ、
血も通っておるじゃろう?
ジャン:
そうですね。
あったかくて、それにモフモフしてて、
触り心地がいいです。
こう、ずっと触っていたいような、
そんな気分になりますね…
天狐:
これで…んっ…わかったじゃろう?
ワシの…ふぁっ…耳が…
本物じゃということに…
ジャン:
はい、よくわかりました……
それにしても……はぁ…はぁ…
触ってて気持ちいいですよ。この耳……
はぁ…はぁ…
天狐:
……それでおぬし、
いつまで……ひゃっ…
ワシの耳に触っておる……んぁっ…
さっきから…ぁんっ…
ずっと、くすぐったい…んぅっ……
のじゃが…
ジャン:
……はぁはぁ……できれば、
もうしばらく……はぁはぁ…
*第二回 [#efba9719]
ジャン:
天狐さん?
川の前で何してるんですか?
天狐:
何じゃ、おぬしか。ワシに何の用じゃ?
ジャン:
いえ、たまたま通りかかったんで、
声をかけてみただけです。
天狐:
たったそれだけのことか。
それはそれで、何ともつまらんのう。
今しがた眺めていたこの川と同じじゃ。
ほれ小僧、何か余興でもないのか?
ジャン:
……こ、小僧って…余興って…
天狐:
ないならないで、
何か酒のつまみにでもなりそうな
愉快な話でもないのか?
ジャン:
……じゃあ今、思ったんですけど、
どうして天狐さんって、
言葉遣いがこう…
天狐:
何じゃ、古臭いとでも言いたいのか?
ジャン:
そういうわけじゃないんですけど…
ちょっと、時代がかっている感じが
気になって…
天狐:
……ふむ。そういうことか…
それなら、説明は簡単じゃな。
それはのう、
ワシがおぬしら人間と違って、
遥に長い年月を永らえておるからじゃ。
ジャン:
100年とか、200年くらい
ってことですか?
天狐:
その程度、小僧小娘とそう変わらんのう。
ワシはかれこれ、
1万年以上は永らえておる。
もっとも、途中で数えるのも
面倒になったゆえ、
正確なところは覚えておらんがの。
ジャン:
……そ、そんなに生きてたんですか、
天狐さん…
どうりで話し方も
今の人と違っているわけだ…
天狐:
なに、崇め奉って、
存分に敬ってもよいのじゃぞ?
ジャン:
じゃあ、天狐さんて、
すっごいおばあちゃんなんですね?
天狐:
…………なんじゃと?
小僧…もう1度言ってみよ?
ジャン:
……いや、だから…
そんなに長い間生きてたら、
もう立派過ぎるおばあちゃんだって…
天狐:
…………おぬし、
なかなかいい度胸じゃのう…?
ジャン:
……あの、天狐さん?
何だか顔が怖いんですけど…
天狐:
夜道を歩くときは、
せいぜい気を付けるがよい……
このようにのう?
ジャン:
ひっ!
な、なんで攻撃してくるんですか!?
天狐:
それは自分の胸に聞くのが
一番早いんじゃないかのう?
長い時間を永らえてるワシも、
おぬしからしたら『年寄り』なんじゃ。
聞くまでもなかろう?
ジャン:
よく分からないけど、謝りますから、
攻撃しないでくださいってば〜〜〜っ!
*第三回 [#i5125808]
ジャン:
あれ、天狐さん、寝ているのかな?
天狐:
……ん? おや、小僧か?
ジャン:
(……そういや、あの髪型、
かなり独特な感じだよな…
毎日、どうやって整えてるんだろ…)
天狐:
どうしたのじゃ?
ワシの顔に何かついておるのか?
ジャン:
いえ、そうじゃないんですけど…
天狐:
何じゃ、歯切れが悪いのう。
はっきり言うてみい。
ジャン:
……あの、天狐さん?
その髪の毛って一体、
どうなってるんですか?
天狐:
ワシの頭に付いておる、
この房のことを言っておるのかえ?
ジャン:
はい。ちょっと、
尻尾にも見えるんですけど、
そういう風にしてあるだけですよね?
束ねたものを、
その尻尾みたいなのにしまっている
っていうことで、いいんですよね?
天狐:
いいや、これはワシの尾の一部じゃが?
ジャン:
……えっ……
な、なんで頭に尻尾があるんですか?
天狐:
尻に9本も付けておると、
歩きにくいのでのう。
バランスを取るため、
頭に付けておるのよ。
尻と頭で、ちょうど九尾よ。
ワシが九尾の狐であるゆえにのう。
ジャン:
…………っぷ!
髪の毛が尻尾って…!!
合わせて九尾って!!
天狐:
…………何じゃ?
何かおかしなことでも言ったかのう?
ジャン:
ぷぷっ! あはははっ!
天狐さん、冗談面白いなぁ、もう!
あははっ!!
天狐:
……小僧、おぬし…
ワシを小馬鹿にしとるのか?
このワシを…
ジャン:
ヒイ〜〜〜〜ッ!
な、何をするんですか!?
天狐:
……問答無用じゃ。
おぬしは少々痛い目を見て、
反省するがよい。
ジャン:
なんでこうなるの〜!
ギャーーーッ!
天狐さん、止めてーーーっ!
*第四回 [#ifd6cd67]
ジャン:
あれ、天狐さん?
こんなに暗いのに空なんか見て、
何かあるんですか?
天狐:
月見じゃ、月見。
風情の分からん小僧じゃのう。
ジャン:
あー、そう言えば、
今日は月がよく見えますよね?
天狐:
うむ。おぬしもたまには
月見とでも洒落込んでみたらどうじゃ?
そうしてゆっくりするのも……
悪くはなかろう?
ジャン:
……そうですね。のんびりして、
自分なりにリラックスする時間も、
今は必要かもしれないですね。
天狐:
じゃろう? 最近はおぬしも、
少々気が張ってたのではないか?
まあ今宵くらい、
先々の苦労も忘れて、
安らかに過ごすのもよかろう。
ジャン:
はい。僕もそうすることにします。
ジャン:
それでですね、天狐さん…
お嬢様ったら、ひどいんですよ〜。
まったくその通りなんですよ!
……はぁ〜…
天狐さんだけですよ、
僕の話をちゃんと聞いてくれるの…
天狐:
くくくっ。
こうも簡単に化かされて、
自分の杖に話しかけるとは…
なんとも間抜けな奴じゃ。
これはなかなか、
今後も化かし甲斐がありそうじゃの〜。
*第五回 [#cdf75452]
ジャン:
……こないだはヒドイ目に遭ったな…
まさか、話の途中から、
天狐さんに
化かされてただなんて…
う〜ん……これも精神修行の一環、
という感じに開き直っておいた方が
いいのかなぁ…
天狐:
……小僧、おぬし、
何をさっきからブツブツと
言っておるのじゃ?
何か、珍妙な熱病にでも
かかっておるのかえ?
ジャン:
天狐さん!?
今の聞いてたんですか!?
天狐:
ここに来たら、聞こえてきただけじゃ。
そもそも、おぬしが勝手に
話しておったのじゃろうに。
ジャン:
……それはそうですけど…
天狐:
ところでおぬし、その包みは何じゃ?
なにやらワシの好きな匂いがするぞい。
ジャン:
ああ、これですか。
天狐さんが好きらしいって聞いて。
もしよかったら、どうぞ?
天狐:
こ、これは!
ワシの大好物のお揚げではないか!
ジャン:
半信半疑だったんですけど、
本当だったんですね?
天狐:
うむ、左様じゃ。
では、さっそくいただくぞい。
……もぐもぐ……うまいのう……
もぐもぐ…うまいのじゃ…
ジャン:
(……こんなに嬉しそうに食べて……
本当に好物だったんだなぁ…)
(僕ともこれを機に、
もう少し話してくれるように
なればいいんだけど…)
天狐:
……ふぅ……よう食った…
満足、満足……
次も持ってくるのじゃぞ?
ではまたの。
ジャン:
え、はい。そうします……
って、ええっ!?
お、お揚げ食べたら、
即帰っちゃうんですか!?
冷たいなあ…
*第六回 [#f22eccd3]
ジャン:
あー、いたいた。天狐さん。
こないだ言われた通り、
今日もちゃんと持ってきましたよ?
天狐:
なんとまぁ、律儀な奴じゃのう。
ワシとしては、お揚げが食べれて
満足じゃがの。
大好物のお揚げ、ありがたく、
ちょうだいしておくことにするかのう。
今回も悪いのう。
わざわざ、ワシの大好物を
持参させてしもうて。
ジャン:
いえいえ。これくらい、
お安い御用ですよ。
天狐:
そうは言ってものう。
ワシにもお揚げの礼をする
義理があるでな?
すぐにとは言わんが、近いうち、
何かしらの形で礼をさせてもらうぞい。
ジャン:
そんなに気にしないでいいですよ。
僕は天狐さんと、
少しでも仲間として打ち解けられたらって
思ってるだけですから。
天狐:
そうか…? ふむ…そういうことならば…
ワシもおぬしと仲間づきあいをするに…
やぶさかではない…かの。
ジャン:
え! ホントですか!?
天狐:
ああ。本当じゃ。その証拠に…
ワシの尻尾を握ってもよいぞ。
ジャン:
尻尾を…ですか? それは、確かに
もふもふして気持ちよさそうですが…
何か特別な意味が?
天狐:
うむ、これはの、
ワシら狐族の間で親しいもの同士が
親愛の情を表すあいさつじゃ。
まあ、お前ら人族でいうと、
握手のようなものじゃな。
ジャン:
なるほど…握手ですか。
でも…どの尻尾を握れば?
天狐:
ん?ああ、どれでもかまわん。
好きなのを握るがよい。
ジャン:
わかりました。では…これで!
よろしくお願いします!
天狐:
はぅ……っ! くぅ……んっ!
ば、ばかものぉ…! い、いきなり…
握るでなぃ…はぁあん…
ジャン:
ご、ごめんなさい! 手、放しますから!
天狐:
だ、だめじゃ…小僧、手を放すな…
尻尾を…尻尾を優しくこするのじゃ…
ふぁああぁん!
ジャン:
天狐さん!?
天狐:
は、早く…早く…っ! ぁあああ…
あうぅんっ!
ジャン:
天狐さん、
尻尾が…ぴくぴく震えてますよ。
き、気持ち…いいんですか!?
わ、わかりました。もっと激しくですね?
こうですか? なんとなくわかります…
天狐:
くくくっ。
この小僧、またも簡単に化かされとるわ。
……もぐもぐ……あぐあぐ……
このじゅわっとしみだす汁と食感…
たまらんのう…
しかし、なんじゃな。
面白い見世物を見ながら食べると
普段にもましてお揚げがうまいのう。
*第七回 [#d0e11090]
ジャン:
……こないだも、
また化かされてしまった…
一体いつの間に、
僕は化かされていたんだろう…
でも今度こそ、
今日こそは化かされないぞっ!
天狐:
うむ。小僧、今宵もおったか。
感心じゃな。
ジャン:
ちゃんと今回も、
天狐さんの好きなお揚げ、
持ってきましたよ?
天狐:
阿呆とばかり思うとったが、
これでなかなか聡くなったものじゃな。
褒めてつかわすぞい。
毎度毎度すまんのう。
では、ちょうだいするかのう。
ジャン:
(そういや、こうやってお揚げを
渡すあたりから化かされて……
まさか!)
……はっ!
天狐さん、
また僕を化かしてますね!
天狐:
おぬし、何を言うておるのじゃ?
今日のワシは寛大ゆえ、
さようなことをする気など、
さらさらないのじゃが?
ジャン:
またまた〜! 天狐さん、
いつもそうやって
僕を化かしてるんですね?
でも、今日の僕は一味違います!
今回ばかりは、そうは行きませんよ〜!
天狐:
……ふむ。
何を言うても無駄なようじゃのう…
ジャン:
そうやって優しいフリをしてるのも、
すでに僕を化かしに
かかってるからですよね?
天狐さんが、
素直にお礼を言うとは思えないですし!
天狐:
……何じゃと…?
小僧、ワシを馬鹿にしておるのか?
ジャン:
馬鹿にだなんてしていませんよ?
ただ、今の化かされた状態を
なんとかしたいだけです。
天狐:
……ほほう……ならば、
その間抜けな目を……
はよう覚まさせてやらんといかんなぁ…
ジャン:
うぎゃっ!
あ、あれ? なんか痛い…
えっ、ええっ!?
これって、夢じゃないの!?
天狐:
このたわけめが!
最初から『化かしておらん』と
言うておるじゃろうに!
これから十分に痛い目を見て、
反省するがよい!
ジャン:
ぎゃ〜〜〜〜〜っ!!
ば、化かされてなかったの〜〜〜〜っ!
天狐:
待たんか小僧!
このワシが直々に、
たっぷりと折檻してくれるぞ!
ジャン:
うわ〜〜〜っ!
天狐さん、
ごめんなさい〜〜〜〜〜い!!
*第八回 [#i163f8e3]
ジャン:
……天狐さん…
僕なんか呼び出して、
どうする気なんだろう…
ま、まさか……こないだ、
化かされてないのに、化かしてるって
言って、怒らせちゃったから…
そのおしおきの続きなんじゃ…
ど、どうしよう…
(ここから妄想)
天狐:
ふむ。定刻通りに来ておるようじゃの、
小僧。
ジャン:
すっ、すいませんでした!
天狐:
どうしたのじゃ? おぬし、
ワシに何か謝るようなことをしたのか?
ジャン:
こないだ、
化かされてない時に
怒らせてしまったので!
天狐:
ああ、そのことか。
それはもうよいのじゃ。
十分に反省してもろうたからのう。
ジャン:
……そ、それじゃ…
今日はこないだの続きじゃ
なかったんですか…?
天狐:
終わったことを
今になって続けてどうする?
おぬしはほんに、
可愛げのある阿呆じゃのう。
ジャン:
それなら、今日は何で
僕を呼び出したんです?
天狐:
まだ気付かんのか?
おぬしは阿呆な上に、
鈍感な奴じゃのう?
まぁ、時おり化かして
からかうこともあるが、
何度も会って、話をしておるのじゃぞ?
ワシがおぬしのことを気に入っておる、
ということじゃ。
そのくらい、男なら自分で気付かんか。
この馬鹿たれが。
ジャン:
……そ、それって……
もしかして、本当に天狐さんが……
僕のことを…?
天狐:
……とことんまで鈍い奴のよう…
まったく……
ワシが目をつぶっている間だけじゃぞ…
しかし、永らく生きてきたが、
こんな気持ち…久しゅうなかったわい…
ジャン:
は、はいぃーっ!
(キスシーン)
天狐:
まだか?はよせい…
いつまで待たせるつもりなのじゃ?
男ならいさぎようせんか
せっかくワシがここまで積極的になっておるのじゃぞ?
小僧、待ちくたびれたぞ
さあ、ワシの熱く濡れた唇に、おぬしのそれを…
お揚げよりも甘美な味、今すぐ確かめさせるのじゃ
(ここから現実)
ジャン:
……うーん……天狐さーん…
天狐さんって、
結構抱き心地が良いんですね〜…
それに良い匂いがします…
こんなに色っぽいと……
僕もう、たまらないですよ……
むちゅ〜っ…
天狐:
かははははっ!
こやつ、また化かされおって!
ほんに化かし甲斐のある奴じゃて!
めんこくてたまらんのう!
ジャン:
むちゅ〜っ! 天狐さぁ〜ん……
ページ名: